写真:migakiba kashibaで実施したオンラインフィールドツアーの様子。現地チームの松本さんが、奈良で起こした薬草ハーブを使った事業の説明をしており、そのパソコンの画面が映っています。

全体レポート

これからの循環を考える
12週間の記録

2020年度プログラム

全編オンラインで実施したmigakiba 2020-2021。
全国各地さらには海外から、多様な背景・専門性をもった38チーム159名の参加者が集まりました。
現地で集まることができないなかで、どんなプロセスを経て、プロジェクトを生み出してきたのか。
各地を担当した全体事務局メンバーの視点を織り交ぜながら、約12週間の活動をまとめました。

参加説明会&トークセッション

PCキャプチャ画像:参加説明会&トークセッション。トークゲストの安西洋之さんの講演タイトル「これからのローカル~ローカルが鍵となる時代の生き方」が表示され、背景にはイタリアの村の写真が使われています

参加者公募イベントには約150名の方が参加。前半では5地域の現地事務局代表より地域のプレゼンテーションを行い、これからの課題と参加者への期待をお話しました。後半ではイタリアミラノでビジネスプランナーとしてご活躍されている安西洋之さんをお迎えし、「これからのローカル ~ローカルが鍵となる時代の生き方~」というテーマでお話をしていただきました。イタリアの事例を紐解きながら、日本においても、それぞれのローカルが持つ可能性を持って協力していくことで前進していけるのではという示唆をいただきました。

1オリエンテーション

PCキャプチャ画像:オリエンテーションで行われた、大臣官房白石隆夫審議官による「環境で地域を元気にするローカルSDGs(地域循環共生圏)形成に向けた環境省の取組」についてのレクチャーの様子です。重層的に構成される地域循環共生圏が図式化されています。

5エリア合同で行ったオリエンテーションの前半では環境省大臣官房白石隆夫審議官より、「環境で地域を元気にするローカルSDGs(地域循環共生圏)形成に向けた環境省の取組」についてのレクチャーを実施。各エリアに分かれた後半では、各地域のテーマにまつわるレクチャーを講師より行いました。参加者が一同に集い、プログラムの背景とテーマに対するアプローチの糸口を得る機会となりました。

PCキャプチャ画像:migakiba yamaguchiのオリエンテーションのウェビナーでのひとこま。現地事務局代表の菅沼さん、現地アドバイザーの津田さん、テーマ講師の遠藤幹子さんが対話をしています。PCキャプチャ画像:migakiba yamaguchiのオリエンテーションのウェビナーでのひとこま。現地事務局代表の菅沼さんが山口情報芸術センター[YCAM]の活動を説明をしています。PCキャプチャ画像:migakiba yamaguchiのオリエンテーションのウェビナーでのひとこま。ウェビナー参加者が25コマの画面に映っており、それぞれ手で山と口の漢字を形作っています。

Voice循環とは? 持続的とは? 多様性とは?

「地域循環共生圏の実現には、物質的な資源の循環と、それを引き継ぎアップデートさせていく地域の人との関係が不可欠です」と、現地アドバイザーを務めるYCAMバイオ・リサーチの津田さん。バイオテクノロジーを介しこれまで可視化されなかった地域資源へ目を向けられる可能性が広がることを学びました。テーマ講師で、美術建築家/一般社団法人マザー・アーキテクチュア代表理事である遠藤幹子さんからは、地域の人がどのように地域資源づくりに参加し、引き継いでいくかをレクチャーしてもらい、「循環とは?持続的とは?多様性とは?」と、これから始まる各チームのアイディア構築の基礎となる問いを与えてもらい、良いスタートとなりました!

写真:migakiba yamaguchiの運営担当、神尾涼太

神尾 涼太

中国・山口県山口市
担当

2フィールドツアー映像

写真:migakiba iwakiで行ったフィールドツアーの様子。茶綿という種のコットン畑で、摘み取った綿花を手に持っている様子が映っています。

地域の風景や現地事務局の活動、各地域のテーマで先駆的に活動をする人のインタビューを撮影した映像を共有。また、これからチームごとにリサーチとプロジェクトづくりをしていく上での切り口となる「初期視点」のつくり方に関するレクチャー動画を同時に配信。動画から得た気づきとそれぞれの興味・関心とを掛け合わせることで各チームの初期視点を考えました。

3ウェビナー(1)

PCキャプチャ画像:ウェビナー(1)までの宿題であったチームの初期視点を考えた過程がオンラインホワイトボードのmiroを使って表現されています。

前半では各地で環境に関わる事業づくりや、そうした活動に豊富な知見をもつ講師より、地域で活動を起こし継続する上で重要なポイントについて、事例紹介を交えてレクチャーしていただきました。後半は各チーム宿題として取り組んできた初期視点を発表し合い、事務局よりフィードバックを行いました。発表後のチームディスカッションでは、前半のレクチャー内容とフィードバックを踏まえ、今後のリサーチに向けた初期視点のブラッシュアップを行いました。

PCキャプチャ画像:migakiba uedaのウェビナー(1)でのひとこま。現地事務局代表の池上さんと環境講師としてお招きした藤川まゆみさんが対話をしています。PCキャプチャ画像:migakiba uedaのウェビナー(1)でのひとこま。環境講師としてお招きした藤川まゆみさんのレクチャータイトル「みんなでつくるエネルギー」が表示され背景には、ソーラーパネルを乗せた瓦屋根の家2件を前に上田市民が手を取り合って万歳をしている様子が映っています。PCキャプチャ画像:migakiba uedaのウェビナー(1)でのひとこま。ウェビナー参加者が25コマの画面に映っています。

Voice「誰かがやってくれれば」を「自分がやらねば!」に

環境大臣賞を受賞、市民発・再生可能エネルギーとして有名な「相乗りくん」。NPO法人上田市民エネルギー理事長の藤川さんが、事業を立ち上げるに至った経緯、「誰かがやってくれれば」から「自分がやらねば!」にスイッチを切り替えられたお話に刺激を受けました。その後、何をテーマにしたいか「初期視点」を各チームから発表。藤川さんから「どれも面白い!」との声をもらい、上田での事業構想に向け、勇気をもらいました!

写真:migakiba uedaの運営担当、徳田加奈子

徳田 加奈子

中部・長野県上田市
担当

4オンラインフィールドツアー/対話会

写真:migakiba kashiba で行ったオンラインフィールドツアーの様子。スマートフォンを手に持ち画面の向こうの参加者に、フィールドツアー先であるGood Job!センター香芝での制作活動を伝えています。

緊急事態宣言の発令により、オンライン開催に変更となった現地視察。現地メンバーによるエリア巡りや現地で活動する起業家・ジャーナリストなどへのインタビュー、ウェビナー内の限られた時間ではなかなか収まらない参加者との対話会を行ったりするなど、各エリアの参加者の進捗やニーズに合わせて、それぞれ異なる内容を企画しました。いずれの地域でも参加者と現地の事務局・チームとが互いへの理解を深め、これまでのウェビナーからさらに踏み込んだ議論をしていく準備ができました。

5ウェビナー(2)

PCキャプチャ画像:ウェビナー(2)で行ったチームリサーチ発表の様子。参加チームが行ったインタビューをまとめた資料が映っています。

初期視点にもとづき、各チームが行ったリサーチの内容と気づきを発表。現地視察が難しいなかでも、オンラインでのインタビューやフィールドワーク、データ収集などを交えて、各チームが工夫を凝らしたリサーチを実施していました。また参加者同士でも互いの発表にコメントし合うなど、チームの垣根を越えた学びの場が生まれてきました。後半のディスカッションはチームごとの部屋に、事務局メンバーが参加し、ともに議論することでチームのテーマを深めていきました。

PCキャプチャ画像:migakiba kashibaのウェビナー(2)でのひとこま。参加チームが香芝市の家族構成等のデータをまとめた資料を説明しています。PCキャプチャ画像:migakiba kashibaのウェビナー(2)でのひとこま。参加チームがGood Job!センター香芝を訪れ独自に行ったフィールドワークがフォトノーツとしてまとめられています。PCキャプチャ画像:migakiba kashibaのウェビナー(2)でのひとこま。参加チームが香芝のフィールドワークから得た気づきをまとめた資料を説明しています。

Voiceチームのリサーチが重なり合って香芝の像が見えてきた

オンラインで会うのも4回目となり、ウェビナー(2)は少し打ち解けた雰囲気の中で行えました。オンラインフィールドツアーで知った香芝の風景やそこに暮らす人々の顔の上に、チームそれぞれのリサーチが重なりあい郊外の像が見えてきました。デスクリサーチからは香芝市の核家族人口の多さなどベースとなる情報が、インタビューからは郊外での人間関係が都市や田舎とどう違うのかといった洞察が加わり、アイデアを発想していくベースがチームをまたいでできていく様子がとても興味深かったです。

写真:migakiba kashibaの運営担当、横手綾美

横手 綾美

近畿・奈良県香芝市
担当

6ウェビナー(3)

PCキャプチャ画像:ウェビナー(3)で行われた個人アイデア発表の様子。タイムキープの時計と発表者3名と、フィードバックをする事務局2名が笑顔で映っています。

チームテーマにもとづき、個人で考えたアイデアを1人1分で発表。短い時間だからこそ、それぞれがアイデアのポイントを意識して伝えていたことで、それぞれのやりたいことが見える機会となりました。後半では個人のアイデアをチームアイデアに統合するためのポイントを伝えた上で、チームでのディスカッションを行いました。各チーム、つくりたい未来に向けて、あり得るアイデアを互いに積み重ねながら、議論が出来ている様子が見られました。

7ウェビナー(4)

PCキャプチャ画像:ウェビナー(4)でのひとこま。事業化講師の瀬川秀樹さんが参加者と対話している様子が映っています。

出てきたアイデアをビジネスモデルやストーリーの面でより良いものにするため、全3回のウェビナーに各回特色ある専門性をもつ講師をお招きし、地域横断でのレクチャーを行いました。初回は瀬川秀樹氏によるユーザニーズの捉え方について、2回目は高岡泰仁氏によるリーンキャンバスをベースとしたビジネスモデルについて、最終回は甲斐かおり氏による魅力的なストーリーについて。各回ともワークを交えながら実践的にアイデアを磨き上げる場となりました。

PCキャプチャ画像:ウェビナー(4)でのひとこま。事業化講師の甲斐かおりさんのスライド「共感を呼ぶストーリーの陥りやすい点」が映っています。PCキャプチャ画像:ウェビナー(4)でのひとこま。事業化講師の高岡泰仁さんのウェビナーの様子が映っています。PCキャプチャ画像:ウェビナー(4)でのひとこま。事業化講師の瀬川秀樹さんのスライド「絞ったユーザーにほれ込めるビジネスを」が映っています。

Voice自分は何者なのか?という問いから事業を考える

全3回のウェビナーそれぞれ講義内容は違えど、全て一貫して自分の意思やパッションに思っていることを起点にした事業アイデアが継続性を生み出すというお話を講師からいただきました。各回のワークでは、参加者たちはチームのアイデアが自分の興味範囲や意思、パッションと接続しているか、そしてそれを他者に伝えたときに共感性を生み出せるのかなど、自分自身と向き合いながらアイデアのブラッシュアップを行っている様子でした。

写真:migakiba iwakiの運営担当、大山貴子

大山 貴子

東北・福島県いわき市
担当

8ウェビナー(5)

PCキャプチャ画像:ウェビナー(5)で行われたプレゼンテーションの表紙。「巡電~充電をきっかけに島民と作る一人旅」というタイトルが表示され背景には海際の道をバイクで走る女性の写真が使われています。

ウェビナー(4)を経て事業案、プロジェクト案へとアップデートされた参加者のアイデアに対してフィードバックを行いました。各チームで精査したアイデアが実現に向けて形づくられており、参加者の想いも入ったプレゼンテーションが多く、フィードバックにも熱が入りました。オリエンテーション後初めて各チームの発表を聞くテーマ講師からのフィードバックは新たな視点を与えてくれ、最後のブラッシュアップに向けてよい気づきを得られる会となりました。

9現地成果報告会

写真:migakiba ueda の現地成果発表会の様子。スライド投影のため照明を落とした会場で、舞台の上にスクリーンが設置され、現地事務局が司会進行をしている様子が映っています。

2か月にわたり各チームが練り上げてきたプロジェクト案を地域の方に発表させていただきました。最後の1週間でグッとブラッシュアップされたアイデアに対して現地の方からも温かなコメントをいただき、これから現地で実行していく上で大切な繋がりづくりの場にもなりました。後半のトークセッションではmigakibaを通じて現地のメンバーが得た気づきが語られました。お互いが得られた成果や、築けた関係性に満足感たっぷりの中終了を迎えました。

10全体発表会

PCキャプチャ画像:全体発表会で行われたトークセッションでのひとこま。コメンテーターの山崎亮さんと鈴木敦子さん、ミガキバディレクターの田村大による対話の様子が映っています。

5つの地域からそれぞれ選ばれた代表チームがプロジェクト案を発表しました。ゲストアドバイザーにstudio-Lの山崎亮さん、NPO法人ETIC.の鈴木敦子さんをお迎えし、プレゼンテーションに対してフィードバックをいただきました。代表チームが練り上げて来たプロジェクト案の中で、結局は肝はどこで、今後進めていく上で何を考えて行かなくてはならないのか、鋭くも的確で温かいコメントを多数いただき、熱がさらに高まるような最終イベントとなりました。

PCキャプチャ画像:migakiba goto 代表チームのプレゼンテーションの様子。スライドが投影されており、2名のプレゼンターとタイムキープの時計が映っています。PCキャプチャ画像:migakiba goto の取り組みを現地事務局代表の中村さんが紹介している様子。migakiba gotoに参加した6チームの名前が並んだスライドが映っています。PCキャプチャ画像:migakiba goto 代表チームのプレゼンテーションに対してコメンテーターの山崎亮さんからフィードバックが行われている様子が映っています。

Voiceはじまりはこれから

最終発表会の日、現地事務局代表の中村さんは、代表チームのみならず、五島全チームのアイデアも1つ1つ丁寧に紹介され、チームへの愛を改めて感じたスタートとなりました。他のチーム同様、代表のAOIチームは、五島の文化を大切にした上で、自分たちのアイデアを現地の方々にどうやったら受け入れてもらえるか、もっと楽しいアイデアになるにはどうしたらいいかと直前まで悩んできました。結果、多くの「面白い!」といったコメント、そしてコメンテーターのお2人からもポジティブかつ貴重なアドバイスをいただきました。実現に向けてのスタートはこれからが本番となりそうです。

写真:migakiba gotoの運営担当、岡 千世

岡 千世

九州・長崎県五島市
担当