写真:migakiba kashibaで実施したオンラインフィールドツアーの様子。現地チームの松本さんが、奈良で起こした薬草ハーブを使った事業の説明をしており、そのパソコンの画面が映っています。

全体レポート

これからの循環を考える
12週間の記録

migakiba 2021-2022では全国各地から多様な背景・専門性をもった31チーム121名の参加者が集まりました。
現地でのフィールドワークとウェビナーを経て、どのようにプロジェクトを生み出してきたのか。
各地を担当した全体事務局メンバーの視点を織り交ぜながら、約12週間の活動をまとめました。

参加者公募イベント

呉(大崎下島)の地域別公募イベントの様子。現地事務局代表/メンターの三宅さんと、現地事務局担当の大橋さん、福島さんとmigakibaディレクターの田村が、大崎下島エリアのこれからのビジョンについて話している様子が映っています。

今年度の参加者公募イベントは全体と地域別の計6回を実施。全体公募イベントの前半では5地域の現地事務局担当者より地域のプレゼンテーションを行い、感じている課題と参加者へ期待することをお話しました。後半ではmigakibaディレクター田村大によるショートレクチャーとmigakiba1期生とのダイアローグを実施しました。またエリア別参加者公募イベントではmigakibaディレクターとともに、全体では話しきれなかった地域の現状や可能性についてお話しました。

1オリエンテーション

ウェビナーの画面をスクリーンショットした画像。右上に登壇者の古川理沙さん。画面共有されている資料は、保育園が出来たことによる街への波及効果をSDGsの17個のアイコンとともに整理したもの。

5エリア合同で行った前半は株式会社無垢代表取締役 古川 理沙さんによるレクチャー。「そらのまち保育園」等の取り組みを例に「SDGsは何番をクリアすれば良いというものでなく、17個の視点で既存のアクティビティ見直し、いい方向にめぐるよう変えていくこと」とmigakibaの出発点としてとなるお話をいただきました。各エリアに分かれた後半では、各地域のテーマに関するレクチャーを講師より行いました。

ウェビナーの画面をスクリーンショットした画像。右半分にはウェビナー参加者の顔が並んでいる。左側には資料が画面共由され、秋田県五城目市のプロジェクト「シェアビレッジ」に興味を持つ人の声が文字で羅列されている。ウェビナーの画面をスクリーンショットした画像。五城目現地事務局の小原さんの笑顔が大きくうつっており、参加者の笑顔が上部に小さな窓で並んでいる。ウェビナーの画面をスクリーンショットした画像。参加者が笑顔で手を振っている。画面右側のチャット欄では活発にコメントがやりとりされている。

Voice循環の起点を作る

古川理沙さんより、保育園を起点に食の循環やまちの繋がりを生み出している実践のお話とともに、「既存のリソースを見直し、それらを繋げていく起点をつくる」というmigakibaが目指す事業づくりを捉えた問いかけをいただきました。五城目のテーマ講師で、シェアビレッジ株式会社取締役の半田理人さんからは、外から地域に入って事業を作って来たご経験から、地域と関わる上での姿勢や覚悟についてのお話をいただきました。事業づくりの目線と姿勢をともに学べた最高のオリエンテーションになりました!

五城目エリア担当鈴木敦写真

鈴木 敦

五城目担当

2フィールドワーク事前映像

migakibaディレクター田村による初期視点の捉え方に関するレクチャー動画。初期視点の捉え方レクチャーのスライドの表紙の画面共有と、田村が話している様子が映っています。

地域の風景や現地事務局の活動、各地域のテーマで先駆的に活動をする人のインタビューを撮影した映像を共有。また、これからチームごとにリサーチとプロジェクトづくりをしていく上での切り口となる「初期視点」のつくり方に関するレクチャー動画を同時に配信。動画から得た気づきとそれぞれの興味・関心とを掛け合わせることで各チームの初期視点を考えました。

3ウェビナー(1)

ウェビナーの画面をスクリーンショットした画像。五城目の環境講師である国際教養大学准教授名取洋司氏によるレクチャーの様子。世界の里山に関する研究のうち、ペルーの事例が写真で紹介されている。

前半では各地で環境に関わる事業や研究をしている講師より、地域で活動を起こし継続する上で重要なポイントについて、事例紹介を交えてレクチャーしていただきました。後半は各チーム宿題として取り組んできた初期視点を発表し合い、事務局よりフィードバックを行いました。発表後のチームディスカッションでは、前半のレクチャー内容とフィードバックを踏まえ、今後のリサーチに向けた初期視点のブラッシュアップを行いました。

環境講師の池内氏による、愛媛県今治地域の強みについての説明チームの初期視点発表総括ディレクター・白井によるフィードバック

Voice持続的な活動のための、飽くなき追求

大洲では環境講師として、「最大限の安全と最小限の環境負荷の飽くなき追求」を掲げている今治タオルメーカーを経営されるIKEUCHI ORGANIC代表・池内計司さんより、これまでの会社の変遷とともに、地域で持続的に事業を行うために大事にしているポイントをレクチャーいただきました。今治地域の自然環境や、産業の歴史を読み解き、地域と産業のこれからを描く姿に、参加者自身も大洲における持続的な活動のためのヒントを得る機会となりました。

環境講師の池内氏による全体へのフィードバック

尾形 朋美

大洲担当

4参加者フィールドワーク

大洗にある磯浜古墳群のツアーで、メンターが写真の中心で腰をかがめながら、古墳の石柱の上に置いてある資料の一箇所を指差しながら、周りでは参加者5名が興味深そうにその資料を覗き込んでいます。

昨年度は緊急事態宣言の発令を受けて、オンライン開催を余儀なくされたフィールドワーク。今年は多くの参加者が自ら現地に赴き、事務局メンバーや地域で活動するキープレイヤーたちと直接対話し、地域やテーマを象徴する場所を訪れました。参加者は、ウェビナー(1)で設定した初期視点をもとに、自分たちが感じた違和感や印象的だった場面を写真に収めた「フォトノーツ」や現地の方々へのインタビューの内容をまとめた「プロフィールシート」を作成し、各エリアに関する理解を深めました。

参加者約15名が大洗のキャンプ場にあるバーベキューエリアを囲んで座っています。その中の一人が自己紹介のため立って話しています。参加者約15名が大洗のカフェの中で座って、メンターやカフェのオーナーの話を聴いています。参加者6名が大洗のクラフトビールの醸造所でテーブルを囲み、大洗産のドライフルーツをまじまじと見ています。

Voice地域で活動することの意義と責任を再認識する

大洗のフィールドワークには、首都圏からのアクセスの良さも相まって多くの方が参加されました。地元の観光を支える大洗サンビーチキャンプ場や2020年に国指定の文化財になった磯浜古墳群、駅前の大洗町観光情報交流センターや建築事務所とカフェを兼ねた「焚火と本」など、現地の観光地や活動拠点を訪れる中で、海以外にも豊富にある大洗の魅力を体感すると同時に、地元で先駆的な活動を展開する人々との交流を通して、大洗で事業やプロジェクトを提案・実装することの意義や責任について認識を深める機会となりました。

大洗の担当者が笑顔で写っています。

増井 尊久

大洗担当

5ウェビナー(2)

第二回名寄で行われたウェビナーの様子。参加チームの「寄せカッパーズ」が名寄市の現地フィールドワークから得られた発見を発表しています。スライドには、無料で貸し出されているノルディックスキー板の様子が映し出されています。

初期視点にもとづき、各チームが行ったリサーチの内容と気づきを発表。現地視察が難しいなかでも、オンラインでのインタビューやフィールドワーク、デスクトップリサーチなどを交えて、各チームが工夫を凝らしたリサーチを実施していました。また参加者同士でも互いの発表にコメントし合うなど、チームの垣根を越えた学びの場が生まれてきました。後半のディスカッションはチームごとの部屋に、事務局メンバーが参加し、ともに議論することでチームのテーマを深めていきました。

6ウェビナー(3)

事前課題であるパーパスとビジョン設定について、参加者が発表している様子

これまでのフィールドワークや現地事務局からの情報をもとにしたリサーチと、参加者個人の想いをうまく合わせながら練り上げてきたアイデアを順に発表。メンターや現地事務局とディスカッションを重ねていくことで、大きな視点と具体的なアイデアを行き来しながら、チームの方向性をまとめていきました。

7ウェビナー(4)

ウェビナーの画面をスクリーンショットした画像。講師のひとり、株式会社バリューブックス取締役の鳥居さんから、サステナブルビジネスを考えるときの視点のひとつ「JEDI」の資料と講師・参加者が写っています

「アイデア」を地域で持続していく「事業・プロジェクト」として展開していくために必要な「事業化フレームワーク」について、異なる専門性の講師5名にお話いただきました。参加者は、エリア問わず参加しました。

各界で活躍するmigakibaの講師陣。「地域」で「持続可能」な事業を構想するプログラムの趣旨に共感し、レクチャーを引き受けてくださいました。参加者が描こうとする構想に視線を合わせ、それぞれの専門性から事業化への後押しをしてくれました。

「ビジネスモデル編」講師:瀬川秀樹さん(クリエイブル代表)
「ローカルデザイン編」講師:有川智子さん(草草社代表/デザイナー)
「ストーリーテリング編」講師:甲斐かおりさん(地域ジャーナリスト)
「サステナブルビジネス編」講師:鳥居希さん(株式会社バリューブックス取締役)
「事業計画編」講師:高岡泰仁さん(GOB インキュベーションパートナーズ株式会社取締役副社長 COO)

zoomの画面の画像です。講師の高岡さん、数名の参加者、スライドがうつっています。スライドには、棚田の画像と「社会課題を直接解く」というタイトルが書かれていますzoomの画面の画像です。講師の瀬川さんと、タイトルスライドが写っています。タイトルには「パッションを起点に持続的な事業を作るためのビジネスプランの組み立て方法」と書かれていますzoomの画面の画像です。ウェビナー④の参加者25名が写っています。顔を出していない人が5名です。それ以外の人は、笑顔だったり、真剣に考えていたり、それぞれの表情をしています。

Voice講師とつくる5日間のプログラム

ESG、SDGs等を背景に、地域循環を趣旨とするmigakibaへの関心も高まっています。しかし、ローカルやサステナビリティをテーマに、事業を成立させ、継続させることは容易ではありません。そこでウェビナー(4)(事業化フレームワーク)では、「地域で持続する、個人の思いを起点にしたプロジェクト」を構築するのに適したフレームを、講師のみなさんと探索しながら、プログラムに落とし込んでいます。講師からの問いかけによって、参加者の「アイデア」が「事業」の形を取りはじめる瞬間はいつもワクワクします。月曜日から金曜日までの5日間、聞きどころであふれていました。

名寄の担当者の徳田がうつっています

徳田 加奈子

名寄担当

8TA座談会

TA座談会のウェビナーの様子。migakiba事務局の増井と、TAの今井さん、小林さん、寺井さん、吉武さん、免さんの映像のキャプチャが映っています。

今年度のmigakibaではTA(ティーチングアシスタント)として、各地域1名ずつmigakiba1期生が伴走。プログラムを一通り体験してみてわかったことやチームでの議論の進め方のコツなど、今期のmigakibaメンバーに向けたさまざまなアドバイスをいただきました。TA座談会では「私たちはこうしてmigakiba最終プレゼンを生き残った!」と題して、最終プレゼンに向けてのブラッシュアップについて、悲喜こもごもを交えたトークを展開してくれました。

9ウェビナー(5)

チームORIによる、愛媛県の「麦」を題材にしたプロジェクト提案をしている様子

前回のウェビナー(4)を経た参加グループの皆さんの「チームプロジェクト案の発表とブラッシュアップ」の会でした。大洲エリアでは、具体的な場所(旧新田病院の跡地)の活用が現地事務局キタ・マネジメントより提案があったこともあり、場所と人の関係性が鮮明に描かれたアイディアが多かったのが印象的でした。また、地域の資源としては「食」を扱ったアイディアも多数あり、食を通じた教育、移住、イノベーション創出、などそれぞれのグループの強みを生かした提案が多く、同じ資源を扱っていても全く異なる独自のアプローチを打ち立てていたのが、事務局側からも評価が高かったポイントでした。

10現地報告会

チーム発表に対してフィードバックをしているゲストコメンテーターの様子

各チームが全5回のウェビナーを通して磨き上げてきたプロジェクト案を、地域のステークホルダーに向けて発表しました。大洗エリアでは6チームが発表し、それぞれの思い描く「循環」を披露しました。どの案もウェビナー(5)からの短期間でブラッシュアップされ、見応えのある内容でした。後半のトークセッションでは、ゲストコメンテーターを交えて大洗エリアのテーマである「海と陸をつなぐ循環」を中心に意見を交換しました。オンラインとオフラインのハイブリッド開催でしたが、発表の間もチャット欄が賑わい、終始和気藹々とした雰囲気で幕を閉じました。

11全体発表会

ゲストアドバイザーの ONE・GLOCAL代表取締役の鎌田さんと、散歩社代表取締役の小野さんが、チーム発表へのコメントしている様子

それぞれの地域を代表した各1チームが全体の場でプロジェクト案を発表する、全体発表会が開催されました。会場であるMY Shokudo Hall & Kitchenと全国からの参加者・視聴者をオンラインで繋ぎ、およそ120名以上の方々にご参加いただき、活発に意見やコメントが飛び交うセッションになりました。会場には、ゲストコメンテーターとして、 ONE・GLOCAL代表取締役の鎌田由美子さん、散歩社代表取締役の小野裕之さんを迎え、各チームのプレゼンテーションに鋭くも暖かいフィードバックをいただきました。最後はこれからの地域への関わりかたや仕事のあり方、生き方を考えるトークセッションで、migakibaの最終イベントを終えました。

会場参加者とスクリーンに映ったオンライン参加者の全体集合写真。現地には17名、オンラインでは約30名が、笑顔で手を振ったりポーズをとっている。プロジェクターで投影されている、オンライン参加の名寄代表チームの発表を、現地会場にいるゲストアドバイザーやmigakibaディレクターがスクリーンを通して見ているオンライン参加の呉大崎下島代表チームの発表の後、ゲストアドバイザーの鎌田さんがフィードバックをしている様子のスクリーンショット

Voiceサスティナブルな未来に果たす役割

各地域やテーマに寄り添い、異なる視点から未来を見据えた各代表チームの発表。ゲストコメンテーターの鎌田さんからは「各チームが多種多様な視点で地域の課題を捉え、目線の先に『サスティナブルな未来に対し、私たちはどういう役割を果たせるのか?』という共通する意志を感じました」とのコメントをいただきました。一方の小野さんからは「べき論ではなく、合理性を超えていく推進力を大事に」という激励の言葉をいただきました。約12週間の研修で得た気づき、磨いたアイデア、そして培ったネットワークを生かし、次のステップに進んでいくチームの今後に対する期待が膨らむ、今年度の最終回となりました。

呉大崎下島の担当者の岡のプロフィール写真

岡 千世

呉大崎下島担当