自然とともに生きていく。豊かでありながら避けられない「自然」との付き合いは時として、災害という対峙の仕方も伴います。2011年3月11日の東日本大震災でその大きな威力を突きつけられた石巻市では、復旧、復興のなかで自分の暮らしを自分たちで再びつくるある種のDIY力を身につけたり、それを楽しみながら地域への愛着を深めていく地域住民、移住者の輪がじわりじわりと出来てきました。
今回のmigakiba ishinomakiでは、震災、復興というキーワードだけではない、これまで、いま、そして未来につながる石巻の姿を参加者のみなさんと改めてさまざまな視点で見つめ、その可能性を探求したいと「自分でつくる暮らしのレジリエンス」をテーマに設定しました。このテーマのもとに全国、遠くは海外からも6組23名の参加者がmigakiba ishinomakiに集いました。
事務局は、石巻の暮らしのなかに潜む魅力を体験し、自分たちの暮らしをみつめなおす旅や機会を提案する「いしのまきグリーンツーリズム協議会」の立ち上げメンバーの加納を事務局長とし、中心市街地の活性化を多角的に取り組む「街づくりまんぼう」の苅谷さん、森林浴・森林コスメ・森づくりを通した森と人との接点づくりを行う「moritoki」の森さんといった、石巻の自然とまちを広くフィールドに活動するメンバーで担いました。
フィールドワークでは、石巻の森、海、川、まちを限られた時間ながらギュっと詰め込む行程を巡りました。事前のウェビナーでも登場いただいた、石巻のレジリエンス、DIYの力を体現するような事業、活動に取り組む「石巻工房」や「Active Life Lab」も訪れ、まちのさまざまな人の視点で見る石巻の可能性や課題、そしてまちへの純粋な思いに触れ、その後の各チームの取り組みの基盤となる出会いが生まれました。
東日本大震災以後、多くの支援を受けたまちですが、だからこそいま石巻というまちやそこに暮らす人々の持つ力や考えを、今回の参加者のみなさんをはじめ、今後もさまざまな地域の未来に活かしていけるのでは、とさらなる期待を得る機会となりました。「きれいごと」だけではない日々の暮らしのなかで、だからこそ日々を楽しみながら、自分たちが思いや時間をかけることにできる地域の未来に向けて、これからも今回のご縁を紡いで一緒に歩んでいけたら嬉しいです。
事務局代表
いしのまきグリーンツーリズム協議会
加納 実久
現地事務局・メンター
森 佳代子
moritoki 主宰
苅谷 智大
株式会社街づくりまんぼう
街づくり事業部 部長
Fieldwork見てきた場所
石巻のフィールドワークでは、宮城、東京、兵庫、静岡、そしてニュージーランドからも参加者が集い、豊かな資源を探索しました。エリアテーマである「自分でつくる暮らしのレジリエンス」に基づき、森林や海と調和した暮らしを提案する「もものわ」さんや、石巻のモノづくりハブ拠点である「石巻ホームベース」を訪問し、持続可能な暮らしを自分たちでつくり出すことについて学びました。2日目はチームに分かれて、それぞれ興味のあるエリアを訪問し、石巻の文化や自然、人の暮らし・働き方について知見を深めました。
Lecturer話を聞いた人
オリエンテーションでは、石巻のテーマである「自分でつくる暮らしのレジリエンス」についてテーマ講師の若林明宏さんより、ご自身が取締役を勤める石巻工房を軸に、だれもがつくることができる家具デザインと展開事例についてお話いただきました。環境講師であるActive Life Lab代表の宮城了大さんには、ご自身が震災後に留学先であるハワイから帰国し、生まれ育った石巻の自然を守るために行っているビーチクリーンや自然を探索するアクティビティ、宿泊施設運営を通して行っている環境にまつわる地域での取り組みについてお話しいただきました。
テーマ講師
若林 明宏
有限会社若林商会
代表取締役/
株式会社石巻工房 役員
環境講師
宮城了大
Active Life Lab/代表
Presentation現地報告会
石巻の現地報告会は現地会場とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。現地会場は 2011年に被災したガレージを改装して誕生したオープンシェアオフィス「IRORI」。ゲストにはコメンテーターとしてIRORIを運営されている一般社団法人ISHINOMAKI2.0の松村豪太さん、そして石巻地域でさまざまな活動をされている方もお招きし、石巻地域のmigakibaに参加した5チームの発表に対してプロジェクトを実施していく上でのフィードバックやアドバイスを行いました。
参加したチームはフィールドワーク以外でも石巻に訪れてヒアリングを繰り返したチームや、自分たちのアイデアのプロトタイプを実践したチームもあり、発表にも勢いを感じました。現地事務局長の加納さん、メンターである森さん、苅谷さんは、それぞれのチームのアイデアを聞きながら「よくぞここまでアイデアを成長させた」「何か一緒にできることがあれば協力したい」とコメントされていました。後半では石巻の現地事務局を務めた3名とゲストコメンテーターの松村さんの4名でのトークセッションを実施。震災を経て復興を遂げた石巻という地域で事業を行うことに対する意義や心構えをお話しされました。
地域レポート
01: 北海道・北海道勇払郡厚真町
多様な資本が織りなす挑戦の土壌
事務局代表
マドラー株式会社 代表取締役社長
成田 智哉
02: 東北・宮城県石巻市
暮らしのレジリエンスとは?
多様な地域との関わり方を探る
事務局代表
いしのまきグリーンツーリズム協議会
加納 実久
03: 関東・群馬県長野原町北軽井沢
地域未来の創造は同質の志をもつ仲間やエリアとの交流から
事務局代表
きたもっく事業戦略室 室長
フィールド事業部長 -事業構想修士-
土屋 慶一郎
04: 中部・富山県南砺市井波
土徳文化の土地で
自らを進化させる力を育む
事務局代表
ジソウラボ 理事 建築家/
コラレアルチザンジャパン代表取締役
山川 智嗣
05: 近畿・京都府京都市京北
小さくても事業をまず形に。
種を見つけ、ともに育てる場。
事務局代表
株式会社ROOTS 代表取締役
中山 慶
06: 中国四国・香川県三豊市
新しい地域経済の仕組み、
食文化を通じた持続可能性。
事務局代表
瀬戸内サニー株式会社代表取締役社長・
YouTuber
大崎 龍史
07: 九州・沖縄県うるま市
島人と探るこれからの豊かさ
事務局代表
株式会社うむさんラボ代表取締役/
株式会社レキサス代表取締役
比屋根 隆