migakiba ozuのイメージ写真。夜空にライトアップされた復元された四層四階の複連結式天守の大洲城の様子が写っています。

05: 四国・愛媛県大洲市

原点回帰で構想する
自然と文化を結ぶまちなみ

2021年度プログラム

大洲のテーマは「自然と文化を結ぶまちなみ」。肱川という愛媛県でも2本しかない一級河川沿いに形成された大洲には、弥生時代から人が住んでいました。その肱川のほとりに鎌倉時代から現在に続く城下町が整備され、大洲城のたもとには、まだ肱川を運河として利用し、生活していた江戸・明治時代のまちなみが残っています。しかし近年、このまちなみを形成する古い民家は人口減少のため更地化したり空き家になったりしていました。今回のmigakibaでは各チームにこの日本中が抱える問題について取り組むこととなりました。

参加したチームのうち、9割は大都市圏に所在のある大きな企業に所属する方々でした。コロナ禍の中でもフィールドワークにはほとんどのチームが参加し、さらに参加できなかったチームも別日に予定を組んで大洲に来ていただきました。全チームに対して、現在、我々がおこなっている歴史的資源(=古民家や古いまちなみ)を活用した観光まちづくりや、城下町の成り立ち、大洲の歴史などをお伝えし各チームが構想を練っていきました。

各チームとも最初は突飛な案が次々に出てきていたものの、現地研修を経て、折衝を重ねていくうちに、どんどんと、いい意味で「まとまり」のある、悪い言い方をすれば「小さくまとまった」案となっていました。現地事務局としては色々なバックグラウンドの方にさまざまな提案で、かつこの地域に必要な内容が欲しいと思っていた中で、どうすれば良いアイデアが引き出せるかを議論しました。結論として、やはり「原点回帰」。それぞれのチームが持つバックグラウンドはこのローカルには決してないものです。そのバックグラウンドを生かした構想を練ってもらうこととしました。

結果として各チームのバックグラウンドがふんだんに生かされた提案を多数受けることが出来ました。今回のmigakibaでは講師として愛媛県のSDGs企業のトップランナーを行くIKEUCHI ORGANIC代表の池内計司さんにもご参加いただいきました。現地報告会では池内さんから「この提案は全部やるべきだよ」というコメントもあり、大洲としては各チームの提案をすべて、何かしらの形で叶えていきたいと思います。大洲はこれからも進化していく街です。今回の研修で知り合えた方々には、提案していただいた事業構想を叶えるべく、ずっと大洲を応援してもらいたいです。

写真:migakiba ozuの現地アドバイザー、井上陽祐さん

事務局代表

一般社団法人キタ・マネジメント企画広報係長
歴史資源活用係長 兼
株式会社KITA 代表取締役

井上 陽祐

現地事務局・メンター

写真:migakiba ozuの現地事務局代表、山鬼育子さん

山鬼 育子

OZU+代表

写真:migakiba ozuの現地チーム、ディエゴ・フェルナンデスさん

ディエゴ・
フェルナンデス

水都学者 兼
キタ・マネジメント文化建築研究所長

Fieldwork見てきた場所

1泊2日のフィードワークに、ほぼ全チームのメンバーが参加しました。初日は、事務局であるキタ・マネジメントが現在進めているNIPPONIA宿の見学や、事務局担当者・山鬼育子さんが手掛けるショップにもみんなでお邪魔しました。後半は、資料を用い事務局側から街の変遷について共有した後、チームを超えて参加者全員で議論をし、非常に盛り上がりました。2日目は、これから開発が行われる古民家の見学(新田病院跡地など)を実施し、実際に開発前の場所を訪れながら、その土地の歴史や地理的条件も実際に肌で感じながら参加者の皆さんとディスカッションを行いました。

ホテルNIPPONIAの前で、事務局・井上さんにより街の歴史の説明。
事務局メンバーと大洲街歩き
参加者が開発中の古民家の素材について質問している様子
開発途中の古民家へ視察

Lecturer話を聞いた人

オリエンテーションでは、伊予銀行から出向されキタ・マネジメントの立ち上げに携わられた、伊予銀行地域創生部課長・兒玉洋平さんによるレクチャーをいただき、立ち上げ当時のビジョンや経緯について共有いただきました。環境講師には、同じ愛媛県にある今治市を拠点に「最大限の安全と最小限の環境負荷の飽くなき追求」を掲げ、タオル作りを行うIKEUCHIORGANIC株式会社代表・池内計司さんより、地域に持続的に根付くビジネスのあり方やそれに伴いやるべき・考えるべきことを、これまでの会社の経緯とともに参加者とディスカッションする機会になりました。

写真:migakiba ozuのテーマ講師、伊予銀行地域創生部 課長 兒玉洋平氏

テーマ講師

兒玉 洋平

伊予銀行地域創生部 課長

写真:migakiba ozuの環境講師、IKEUCHI ORGANIC株式会 池内計司氏

環境講師

池内 計司

IKEUCHI ORGANIC株式会社 代表

Presentation現地報告会

大洲の現地報告会は、おおず赤煉瓦館2階のリアル会場とzoomを繋ぐハイブリット開催形式。前日に現地入りをした参加者2名をはじめ、ゲストコメンテーターのボールアーテキテクチャ合同会社代表・渡邉純哉さん、現地事務局と全体事務局が集う会場は緊張感に包まれました。
「自然と文化を結ぶまちなみ」というテーマを掲げていた大洲のチームの中から生まれた視点は多種多様——肱川あらし、大洲の食体験、砥部焼と移住、まちまるごとを体験できる宿、旅行者と地元をつなぐ場、継続的なインキュベーションを生み出す仕組み。企業所属、建築関係者が多い参加者のカラーが提案にも見え、リサーチの深さや実現可能性の検討など密度の高いアイデアが揃いました。
オンライン参加の来賓はテーマ講師の兒玉さん、環境講師の池内さん、大洲市商工観光部部長の武田さん、キタ・マネジメントの代表理事の方々という大洲のキーパーソン。池内さんの「今回の提案はどれも大洲に必要なもの」というコメントが印象的でした。
振り返りでは各チーム一人ずつから言葉をもらい、提案の背景にあった思い、大洲とこれからも関わっていきたいという熱意を共有いただいたのち、記念撮影をしてクローズとなりました。

会場にて発表者がマイクを持ち、スライドの前で話している。司会の2名がスクリーンの横に座り、スクリーンの正面の机には中央にゲストアドバイザー、両サイドに事務局が2名座っている
チーム発表の様子
会場参加者がスクリーンの横に並び、オンライン参加者と一緒に写っている様子
会場参加者とオンライン参加者の集合写真