migakiba keihokuのイメージ画像。平安遷都以来の木材供給地である京北の山林が一面に広がっています。

05: 近畿・京都府京都市京北

小さくても事業をまず形に。
種を見つけ、ともに育てる場。

2022年度プログラム

京北の持つポテンシャルや魅力、課題にも焦点を当てながら、地域に入り、具体的な提案を行っていくために、「里山と世界をつなぐ地域の知恵」というテーマを設定しました。株式会社ROOTSが行ってきた、Local Wisdomをテーマとして、世界の学生やプロフェッショナルたちとつくるプログラムの事例を紹介し、実際にフィールドワークで現場を見てもらいながら、各々のチームに案を考えてもらいました。

参加者は、東京や大阪などの大都市に住んでる大手企業のビジネスマンや、京都市の行政関係、フリーランスの方々、また地元につながりがあるUターン組、と非常に多様な背景を持つ7組のチームが集まりました。メンターとしては、ROOTSの共同代表の曽緋蘭と、お寺を使った場づくりや教育プログラムのプロである石田奈津子が参加。2〜3週間に1度のメンタリングは、オンラインで約3時間、20名からの受講生からの事業プランを聞きながら、どこにそのプログラムをやる必然性、情熱があるのかや、具体的なお客さんはどんな人がいて、どう集客可能か、誰に協力をして実際につくるのかをROOTSの事例を出しながら、完全に起業家養成という意識で共有しました。

京北チームで素晴らしいのは、地元出身のUターンのチームがいてくれたことでした。彼らは、自分たちの事業アイデアというよりは、他のチームがやっていきたいことのサポートに徹したいですと提案。すると、京北に拠点やつながりを持たない大多数のメンバーは、自らが全てをやらなくてもいい、と肩の荷が降りて、自分たちが実際に実行できる強みは何だと問いはじめ、コラボや連携が見えてきました。

こちらが口を酸っぱくして伝えていたのは、考えすぎるより、スモールスタートでもやってみることでした。まずは自分がパッションを感じられることを形にして、考えながら進むのが一番。脳内でのアイデアと、実際に対価を払ってもらえるサービスのズレが初期は一番起こりやすいから、やることと考えることを両輪で回すべき、ということを何度も確認しました。

結果として、やっぱりやってみないとわからないと、年明け早々に「リデザインの旅」というプログラムをつくってしまうチームも現れ、実際にいろんなプログラム用の小物をデザインして、値段帯を含めた価値あるフィードバックを参加者から受け取っていました。

0-1という種は生まれているが、それが10に至るまでの芽吹く仕組みを、地方の人が少ないコミュニティでつくっていくことは、どこでも困難です。でもそこに思いとやる気のある社会人経験がある若手たちが継続して集ってくれ、参加者のうち3名はすでに移住希望。山を買うことを本気で検討している人までいる。

すでに春に第二弾のツアーを検討するチームもおり、ROOTSの教育事業のロジスティクスの担当や、新しいリトリートプログラムの企画をする人まで現れています。今回の5カ月のプログラムが、継続的に起こっていく事業となるよう、ROOTSとしても引き続き支援や協力を深めていきたいと思います。

写真:migakiba keihokuの現地事務局代表、中山慶さん

事務局代表

株式会社ROOTS 代表取締役

中山 慶

現地事務局・メンター

写真:migakiba keihokuの現地事務局代表、山鬼育子さん

曽 緋蘭

株式会社ROOTS 共同代表

写真:migakiba keihokuの現地チーム、石田奈津子さん

石田 奈津子

合同会社ブリコルース代表

Fieldwork見てきた場所

京北の”Local wisdom-里山の知恵”を学ぶ1泊2日のフィールドワーク。まずは地元の木こりさんとともに京北の山林へ向かいました。その後は、木材市場と製材所、Fab Village Keihokuを訪問。平安時代から林業を軸に作られてきた京北木材の歴史と森、そして地域の現状を知り、これまでの課題とこれからのポテンシャルについて、宿泊先のあうる京北でディスカッションを行いました。2日目は、地域に代々住む河原林さんの茅葺のお家と京組子職人の村山さんを訪問。現地事務局や里山に暮らす地元の方々の言葉や知恵を目にすることで、一人ひとりがさらに地域への理解を深めました。

あうる京北のフィールドの「ツクル森」にあるツリーハウスに参加者15名ほどが登って、原っぱを眺めています。
ツクル森のツリーハウス
ROOTSが古民家を改装し運営している宿泊ヴィラ"テヘン"の前で参加者と事務局の計22名が笑顔で映っています。
ROOTS運営の宿泊ヴィラ"Tehen"の前での集合写真

Lecturer話を聞いた人

オリエンテーションでは、右京区副区長兼京北出張所長の大東一仁さんをテーマ講師としてお迎えし、京北の豊かな資源と文化、奥深い歴史をはじめ、京北のあらゆる持続可能な取り組みについてご紹介いただきました。環境講師としては、パースペクティブ共同代表の高室幸子さんをお招きし、次の時代に健やかな森を残すための人と自然との関係性におけるヒント、パースペクティブさんが取り組む、工藝を未来につなぐ森づくりや森を起点・終着点とするものづくりやなどについてお話しいただきました。

写真:migakiba keihokuのテーマ講師、右京区 副区長 兼 京北出張所長 大東一仁氏

テーマ講師

大東 一仁

右京区 副区長 兼 京北出張所長

写真:migakiba keihokuの環境講師、一般社団法人パースペクティブ 共同代表  高室幸子氏

環境講師

高室 幸子

一般社団法人パースペクティブ
共同代表

Presentation現地報告会

現地報告会は、京北の森林の高台にある研修施設、「あうる京北」で開催しました。外は一面の雪景色に包まれるなか、現地会場には、ゲストコメンテーターの小池禎さん、テーマ講師の大東さんや環境講師の高室さんをはじめとした京北地域からのゲストの方々と6チーム15名の参加者、現地事務局とメンターが参加。オンラインからは1チーム3名の参加者やメンターが集いました。各チームはこれまでの約4ヶ月間で、試行錯誤の繰り返しを経てつくりあげてきたプロジェクト案を発表。 自身の経験や興味から生まれたアイデアや地域の課題に寄り添ったアイデアなど、それぞれの想いがこもったプレゼンテーションばかりでした。発表後には小池さんをはじめ、大東さん、高室さん、そして地域の方々より、熱い応援の言葉や温かいフィードバックをいただきました。地域やチーム間との交流も深まり、今後の更なる継続的な活動やつながりに期待が高まる現地報告会となりました。

会場で登壇している4名のチームメンバーが、笑顔でフィードバックを聞いています。
地域の方よりフィードバックを受けるアシタカチーム
オンライン参加者6名が写るスクリーンを囲んで、会場で参加した6チーム、現地事務局、ゲスト、スタッフの21名が笑顔でうつっています
報告会終了後の集合写真