写真:migakiba iwakiのいわき市三崎公園港の見える丘より望む小名浜港。開かれた海の水面に反射する太陽の光と青空の青が混じり合う。右手に小名浜の工業地帯が見えます。

01: 東北・福島県いわき市

風景はいかにして耕されるのか?
潮目のまちから考えたこと

2020年度プログラム

「風景を耕す」というテーマは、東日本大震災により、自然と社会とのつながりや課題と向き合わざるをえなくなったこの地だからこそ誕生した新しい「風景」と、それをつくりだした「人」に着目したことから生まれたものです。自分自身を問い直し続け、独自の視点を持って風景を耕し続ける地域の先駆者たちからの学びを通じて、参加者それぞれが自分自身を耕す時間になればと考えました。

テーマに導かれ集まったのは、関東、関西、アメリカ在住者含む7チーム33名。建設会社や廃棄物リサイクルを行う企業の職場仲間、青年海外協力隊経験者、官公庁で働く同僚、大学院仲間など、趣味で繋がるZ世代チームなど、“潮目”をつくるに相応しい、世代も背景も異なる皆さんが集まりました。

現地メンバーは、等身大で地域の暮らしを味わい、楽しみ、さらには生業でも体現する4名を招聘。フェアトレード事業会社代表、有機農業による綿花栽培・オーガニックコットン事業を行う会社代表、地域文化活動家、地域事の企画・編集者など、個性豊かな面々が揃いました。

全てがオンライン研修となった今回、大事にしたのは「対話」です。ウェビナー後のオフ会、現地メンバー全員参加で行った8時間対話会。意識したのは、アイデアと地域への理解を深めるコミュニケーションです。とくに地域課題解決のためのアイデアにしないこと、自分たちの内側にあるものと地域を結びつけて考えてほしいと何度も話したように思います。またアイデアに賛同した人が参加できる「余白」の必要性、いわきでやることの意味についても対話を重ねました。

参加者も現地メンバーも一緒になって駆け抜けた12週間。今回のメンバーとともに走ったからこそ見えた「いわき」がありました。いわきを面白がり、自分たちを重ね、たどりついたアイデアを聞き、先の未来を考えながら、地域の風景はこうして耕され、巡っていくのだなと実感しました。生まれたご縁を繋いでいきたいと思います。migakiba最高! ありがとうございました。

写真:migakiba iwakiの現地事務局、宮本英実さん

事務局代表

地域活性化プロジェクト MUSUBU

代表 宮本 英実

現地事務局&現地チームメンバー

写真:migakiba iwakiの現地アドバイザー、末永早夏さん

末永 早夏

株式会社ethicafe 代表取締役 / MUSUBU 副代表

写真:migakiba iwakiの現地チーム、江尻浩二郎さん

江尻 浩二郎

遠近(をちこち)代表/リサーチャー/ライター/演出家

写真:migakiba iwakiの現地チーム、正木里奈さん

正木 里奈

日本語教師 / ヘキレキ舎

写真:migakiba iwakiの現地チーム、酒井悠太さん

酒井 悠太

株式会社起点 代表取締役

Field Tourいわきで見てきた場所

株式会社起点の事務所と綿畑を訪問。現地メンバーとして参加した代表の酒井さんから事業に対する思いについて伺いました。その後、いわきの里山に9万9000の桜を植樹し世界一の桜の名所を目指す「いわき万本桜プロジェクト」の立ち上げ人の志賀忠重さんや、テーマ講師の小松理虔さんに、いわきの社会的・歴史的側面から風景を耕すことについてお話を伺いました。また1/23にはオンラインにて参加チームと現地メンバーによる8時間オンライン対話会を実施。参加チームはいわきに行けないながらも、現地の視点を学びました。

写真:migakiba iwakiで実施したフィールドツアーの様子です。株式会社起点代表の酒井さんにコットンの生産や事業についてのお話を伺っている様子が映っています。
株式会社起点代表酒井さんにコットンの生産や事業についてのお話を伺う
写真:migakiba iwakiで実施したオンラインメンタリングセッションの様子です。現地チームがテーマ講師の小松理虔氏のオフィスUDOKに集い、参加チームと対話している様子が映っています。
現地チームが小松理虔さんオフィスUDOKに集い、リモート参加チームに対して8時間オンライン対話会を開催

Lecturerいわきで話を聞いた人

オリエンテーションでは、ローカル・アクティビストの小松理虔さんにお越しいただき、いわきのテーマである「風景を耕す」についていわきの歴史や文化を読み解きながらお話いただきました。またウェビナー(1)では宮城大学の小沢晴司さんにお越しいただき、「景観と再生」をテーマに、自身が震災後に環境省福島環境再生本部の担当として福島に入ったお話や、景観が織りなす人の暮らしの変化について伺いしました。

写真:migakiba iwakiのテーマ講師、ローカル・アクティビスト、小松理虔氏

テーマ講師

小松 理虔

ローカル・アクティビスト

写真:migakiba iwakiの環境講師、宮城大学事業構想学群教授 小沢 晴司氏

環境講師

小沢 晴司

宮城大学事業構想学群教授

Presentation現地成果報告会

いわきの現地成果報告会は、現地事務局及び現地チーム、テーマ講師の小松理虔さんがいわき湯本温泉・古滝屋に集い、中継で実施。事前にいわきに関わるさまざまな方々に参加を呼びかけ、約70名がオンラインにて報告会に参加しました。
直前まで繰り返していた対話で上がっていたのは、「綺麗な事業計画として見せることよりも、自分たちの意思や背景といわきが重なり合う部分をもっと表に出してほしい」という現地事務局・チームからの声。報告会ではすべてのチームがそのメッセージを受け止め、自分たちの個性を出し切った発表となりました。あるチームの発表後には現地チームメンバーが立ち上がって拍手する一幕もありました。
報告会に参加された、いわきの特定非営利活動法人ザ・ピープルの理事長 吉田恵美子さんからは、「いわきの中だと暗くなりそうな話題を明るくポジティブなプロジェクトとして考えてくれた」とのコメントをいただきました。
トークセッションでは、震災から10年、地域外から受け入れてきたさまざまなプロジェクトを振り返り、発表で終わらせずに、まずはみんなで実践してみよう、歩みを止めずにmigakibaで培った視点の「メガネ」をかけ続けようと締めくくりました。

写真:migakiba iwakiの現地報告会の会場の様子。現地事務局及び現地チームがいわき市内湯元温泉古滝屋のイベントスペースから報告会をライブ開催している様子が映っています。
現地事務局及び現地チームはいわき湯本温泉「古滝屋」ラウンジから中継
PCキャプチャ画像:migakiba iwakiの現地報告会のプレゼンテーションの様子。参加者から「いわき市といったら海ではなく山!」と、いわきの人々がこれまで意識していなかったようなアイデアや課題に対する提案がされています。
発表はいわきの人々がこれまで意識していなかったようなアイデアや課題に対する提案が多かった